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途中のサービスエリアで、
思い切って携帯電話の電源を切った。
いいよね、この二日くらいは。
上司のお小言も、後輩の相談めいた愚痴も
シャットアウト。
自分のためだけに時間を使う贅沢を、
今日だけは許してください。
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向かうのはオホーツク海に面した、
とっておきの場所。
まっすぐに向かってホテルにチェックインする。
サロマ湖が見渡せる部屋。
ベッドに横になりながら、きらきらと輝く湖面を
眺めていると、ちらっと脳裏に浮かぶあの人。
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お花畑を探検した後は大浴場へ。
夕日がゆっくりと沈んでいく。
光が吸い込まれていくような湖を眺めながら、何にも考えない時間を過ごす。
たまにはいいよね、
頑張ってるわたしに束の間のご褒美。
お風呂からあがったら冷えたグラスにビール。
贅沢ってこういうことかもしれないな、なんて。
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夕食はビュッフェ形式。
目の前に並ぶ宝石のような料理たち。
オープンキッチンで働くシェフの活気に誘われ、
ついついたくさんお皿に運んでしまう。
本当においしいものって、言葉を忘れちゃうんだって、
今日初めて気付いた。
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朝の気配で自然と目が覚めた。
さぁ、大浴場へ。
昨日とは違う趣の浴場にこころが弾む。
お庭を眺めながら露天風呂。
心地よい風とおいしい空気。
ずっとここにいたいような気持ちもあるけれど、
また頑張ろうと思える気持ちのほうが大きい。
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チェックアウトまでの時間をのんびりと過ごす。
めまぐるしくすぎる日々だけど、
今、この時間があるから、また、
自分を見失わずに走れる気がする。
遠く海の上を飛んでいる鳥に自分を重ね、
そっと双眼鏡を覗く。